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行政書士法人INSIGHT
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事業協同組合専門の行政書士事務所
●総会
総会は組合員全員をもって構成し、組合の最高意思を決定すべき必要機関ですから、定款の定めをもって
してもこれを廃止することはできません。総会の種類は、通常総会及び臨時総会の二種類です。しかし、常
置機関ではありませんので、適法に招集され、定足数を満たしたときのみ存在します。なお、創立総会は、
組合設立に関わる一切の事項を議決する権限を有するものであり、設立後の組合の総会とは性格を異にす
する機関です。
(1)通常総会
通常総会は、毎事業年度、定款で定める期間内に1回必ず開催しなければなりません。実務上は、税務申告の兼ね合
いから、事業年度終了後2ヶ月以内に通常総会の開催を行うよう規定することが一般的です。議案の中心は決算関係書
類案や事業報告案の承認になりますが、具体的な開催日時・場所、議案等については理事会において決定し、代表理事
が定款の定めに従い、総会招集の手続きを行います。組合員に対する招集の通知は定款にその旨を定めることによって
郵送送付に代えて、電子メール等電磁的方法によって行うこともできます。
(2)臨時総会
臨時総会は、回数に制限はなく、いつでも必要に応じて招集することができます。招集の決定や招集手続きは通常総
会の場合と同じです。
◇総会における議決の方法
組合員は、出資口数の多寡や事業規模の大小等に関係なく、議決権・選挙権は平等に1組合員につき1個与えら
れます。総会における議決については、総組合員の半数以上が出席し、その議決権の過半数で決し、可否同数の場合は、
議長の決するとこころによる「普通議決」と、組合員の半数以上が出席し、その議決権の3分の2以上の多数により決する
「特別議決」があります。「特別決議」は、組合組織の基盤に影響を及ぼす重要事項について特に慎重な議決を期するた
めに用いられる議決方法です。
※<特別議決事項>
①定款の変更
②組合の解散又は合併
③組合員の除名
④事業の全部の譲渡
⑤組合員の出資口数に係る限度の特例
⑥中小企業等協同組合法第38条の2第5項の規定による責任の免除
補)これらの特別決議事項は、定款でその議決方法の要件を緩和することはできませんが、逆に組合が、特に必要とする
重要事項については、定款の定めることによって「特別議決事項」とすることができます。
◇総会の議決事項
総会の議決事項には、「法定議決事項」と「任意議決事項」があります。法定議決事項とは、組合員の利害に重要な関
わりがあるとして、法律の規定によって必ず総会の議決を要するものと定めた事項です。
※<法定議決事項>
①定款の変更
②規約の設定、変更又は廃止
③毎事業年度の収支予算及び事業計画の設定又は変更
④経費の賦課及び徴収の方法
⑤決算関係書類の承認
⑥組合員の除名
⑦役員の選挙
⑧組合員の5分の1以上の同意を得て行う役員の解任請求
⑨組合の合併
⑩新設合併の際の設立委員の選任
⑪組合の解散
⑫清算人の選任
⑬会社への組織変更
⑭団体協約の承認
また、任意議決事項とは、組合が定款で総会の議決事項と定めた事項です。一般的には次のとおりです。
※<任意議決事項>
①借入金残高の最高限度
②1組合員に対する貸付け(手形割引を含む。)又は1組合員のためにする債務保証の残高の最高限度
③組合員の事業に関する債務保証の残高の最高限度
④1組合員のためにする組合員の事業に関する債務保証の残高の最高限度
⑤役員の報酬
⑥過怠金
⑦加入金
⑧剰余金の配当
◇総会の緊急議案
総会の議案は、原則として総会招集通知の予め記載された事項についてのみ議決することができますが、定款に「緊
急議案を採用することができる。」旨規定してあり、出席組合員の3分の2以上の同意があった場合には、予め通知のあっ
た事項以外の事項についても議決することができます。ただし緊急議案の提案者及び議決に参加できる者は、本人出席
に限られ、書面又は代理人により議決権・選挙権を行使する者は除外されます。なお、除名や役員のリコール等のように、
事前に一定の手続きを必要とするような事項は緊急議案として提案することはできません。更に、特別決議事項に該当
する重要議案を緊急議案の対象とすることは、組合内の紛争の火種にもなりかねないので好ましくありません。
●理事会
理事会は、理事によって構成される必要合議機関ですから、定款の定めをもってしても廃止することは
できません。また、理事会は常置機関ではありませんから、一定の手続きを経て適法に成立した場合のみ
存在します。理事会の役割は、総会の決定に基づき組合の業務の執行を決定します。この決定された業
務執行を現実に組合を代表して執行する職務を担当するのが代表理事となります(組合の代表権)。組合
関係法は、代表理事だけに業務執行権を付与していますが、法では「代表理事は、定款又は総会の決議
によって禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。」と規定してお
り、これ故に、代表理事以外のその他の理事や組合事務局による組合運営が可能となっています。
◇理事会の定足数及び議事
理事会は、理事の過半数が出席することによって成立し、その議決はその過半数をもって決します。理事会にあ
っては、総会のように普通議決・特別議決の概念は無くいかなる事項でもこの議決方法によります。理事は、理事会にお
いて一個の議決権を有するものと解され、一定の場合(特別利害関係人)を除く他、その権利を奪うことはできません。
従って、理事会において、議事運営につき議長を選出しても、総会の場合のように、議長に就任した理事の議決権を停
止することはありません。また、理事会は総会の場合とは異なり、代理人による出席は認められておりませんが、定款
にその旨を定めることによって、あらかじめ通知のあった事項について、書面又は電磁的方法によって理事会の議決に
参加することができます。
◇理事会の議決事項
理事会の議決事項として考えられるものとして、法又は定款で定めるものを含めて次のようなものがあります。
①代表理事、役付理事の選任 ※役員自体は総会の選挙で選任されます。
②組合員加入の承認
③持分譲渡の承認
④出資口数減少の承認
⑤持分払戻の停止
⑥理事の自己契約の承認(※補①)
⑦参事、会計主任の退任と解任
⑧総会の招集の決定
⑨総会提出議案の決定
⑩総会において決定した事業の執行及び執行細目の決定
⑪顧問、相談役の委嘱
補①)上記⑥は理事又は理事の会社等と組合が、商取引等の契約をする場合を「自己契約」として、法律に
おいて、理事会の承認事項と定められています。この規定は、理事個人と組合だけでなく、当然、理事
の会社と組合の契約も含まれます。また代表理事(会社)と組合の場合には、組合代表と会社代表が同一
人になり、自分と自分が契約する民法上の双権代理に該当してしまいます。この場合の契約も理事会の
承認があれば、有効な契約として成立します。ただし、理事との全ての契約において理事会の承認が必
要というわけではなく、組合が損害を被る恐れがない場合、つまり理事が自己の利益を図る余地のない
契約については理事会承認は不要と解されます。しかし、実際の取引上の契約にはその判断が微妙なケ
ースもありますから、その場合には理事会の承認を得た方が良いといえます。
補②)理事会は、業務執行の意思決定機関ですが、ここで決定すべき事項と代表理事が業務執行権の一部と
して意思決定する事項との範囲については、明確な定めはありません。このことについて紛争になる恐
れがある場合には、具体的に代表理事の専決事項の範囲を明確にしておくことが妥当です。
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